2010年12月15日水曜日

米FOMCが国債購入継続を表明、景気回復は不十分との認識

[ワシントン 14日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は14日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、景気回復ペースは依然として失業率を低下させるのに不十分として、成長や雇用創出を支援するため6000億ドル規模の国債買い入れを継続する方針を表明した。

 声明は、雇用の低迷と低インフレを強調する一方、景気回復は継続(continuing)しているとし、前回の「(景気回復ペースは)遅い(slow)」から景気判断を若干上方修正した。

 声明は「景気回復は継続しているものの、回復ペースは失業率を低下させるには不十分」としている。

 FOMCは、ブッシュ減税延長法案を踏まえた景気見通しの見直しについて一定の議論を行った可能性が高いが、声明では、基調インフレは前回会合以降、引き続き低迷傾向にあると指摘した。

 今回の声明では、最近上向いている経済指標に関する言及はほとんど見られなかった。

 カンザスシティー地区連銀のホーニグ総裁は再度、反対票を投じた。

 アナリストの間では、最近の経済指標が予想を上回っていることや、ブッシュ減税の延長案などを受けて、経済成長予測を上方修正する動きが相次いでいるが、FRBは厳しい景気認識を示したといえる。

 FOMCが引き続き景気の弱さを強調したことは、景気回復の加速を示す最近の兆候について、より明確な言及を期待していた一部のアナリストの間では意外感をもって受け止められた。

 インタラクティブ・ブローカーズのシニア市場アナリスト、アンドリュー・ウィルキンソン氏は「FRBは依然として、雇用と支出の見通しは市場で認識されているほど強くないとしている」と述べた。

 TDアメリトレードの首席デリバティブ・ストラテジスト、ジョー・キナハン氏は「FRBは2011年1月のFOMCまで時間を稼ごうとしているようだ。これによって、休暇シーズンと年明け数週間の動向を見極めて今後の政策を決めることが可能になる」と述べた。

 ニューヨーク外為市場のドルは、国債買い入れの拡大が示唆されなかったことを受けて、対ユーロ、対円で小幅上昇。米国債は、声明の内容がハト派的だったとの見方で下げ幅を拡大した。

 米国株は声明発表後も大きな値動きはなく、小幅高で取引を終えた。

 <厳しい景気認識>

 FRBは、景気認識を若干上方修正したものの、高失業率と低インフレへの対応を引き続き重視する方針を示した。

 インタラクティブ・ブローカーズ・グループのアナリスト、アンドリュー・ウィルキンソン氏は「FRBは、雇用と支出・投資の見通しは市場が見なすほど強くないとの見解を示し続けている」と指摘した。

 今回のFOMC声明では、急上昇している長期金利について言及がなかった。

 10年物国債利回りは5月以来の高水準に上昇。金融緩和の効果に水を差しかねない状況となっている。

 UBSのエコノミスト、モーリー・ハリス氏は「(FRBは)現実に目をつぶっているのか」と疑問の声をあげた。

 FRBは11月に量的緩和第2弾(QE2)の実施を決定。QE2をめぐっては、国内外から、将来のインフレやドル安・通貨安競争につながるとの批判が出ている。

 カンザスシティー地区連銀のホーニグ総裁は、QE2の実施で経済が不安定になる恐れがあると主張。今年のFOMCで毎回反対票を投じている。

 FOMCでは、長期金利の急上昇についても議論された可能性が高い。 

 ただ、長期金利上昇の背景には(1)QE2への政治的な批判が高まり、投資家がQE2の継続を疑問視している可能性、(2)インフレや財政赤字に対する懸念、(3)景気拡大への期待──など様々な要因があるとみられ、各要因がどの程度長期金利の上昇に影響したかを判断するのは困難。

 景気回復の兆しが出てきたにもかかわらず、失業率は10%近辺で高止まりしており、コアインフレ率も記録的な低水準で推移している。

 米国では、ブッシュ減税延長に関するオバマ大統領と共和党の合意に失業保険給付の延長が盛り込まれたことを受け、予想外の景気押し上げ効果が見込まれている。

 一部のエコノミストは最大で来年の経済成長率を1%ポイント押し上げ効果があると予想している。

 ロイターが14日実施した調査によると、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)16社中14社は、減税延長合意を受け、2011年の経済成長率予想を上方修正。予想中央値は3.05%。今月初め時点の予想は2.70%だった。

by n.o
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